日本は相変わらずの超低金利ですが、海外に目を移すと高利回りの債券が存在します。
一部では10%を超えるような債権もあります。
日本の国債の利回りからは想像が出来ないほどです。
日本の国債だと、10年物でも2%届きません。
最近は、こういった高利回りの債券を買う人が多いようす。
「ブラジルレアル建て」とか「南アフリカ・ランド建て」などが代表でしょう。
あるいは投資信託の場合、こうした高利回りの債券に投資する投資信託の人気があったようです。
最近は以前ほどの人気ではないようですが、それでもある程度の人気を誇っています。
例えば、これを書いている時点でも、「短期豪ドル債オープン(毎月分配型) 」という投資信託が、マネックス証券の週間および月間の売れ筋ランキングトップ10に入っています。
ちなみに、この手の投資信託では、毎月分配型と言って毎月ちょっとずつお金が戻ってくるタイプが人気があるようです。
何となくお得感があるのでしょう。
本当にとくなら投資するよ
でも、外国の高利回りの債権というのは、私達にとって有利な金融商品なのでしょうか?
確かに、10%を超えるような債権だと、ものすごい有利な商品に思えてしまいますよね。
株式に投資しても、平均8%程度の利回りしか期待できないとされているのですから。
しかもこれらの債券は、格付け機関による信用格付けが高いものも多いです。
そういうのを見ると、何となく安心感が増しますよね。
問題は、そんな上手い話があるのかどうかです。
そんな有利な商品は存在しません
さて、ここまで持ち上げておいてなんですが、やっぱり結論はそれほど楽観的なものではありません。
残念ですが、高利回りの外国債が格段に有利ということは無いのです。
誰にでも分かるくらい有利な金融商品があったら、とっくに機関投資家が買いあさっているはずですよね。
とくにそういう動きが見えないところを見ると、格別有利というわけではないのです。
そう考えるのが自然でしょう。
高利回りなのはなぜ?
もう少し詳しく考えて見ましょう。
まず、高利回りの理由です。
債券の表面利回りが高い理由は単純明快です。
表面利回りを高くしないと買い手がつかないから、そうしているだけです。
だって、債券を発行する側としては、少しでも低い金利で債券を発行したいわけです。
でも、低い金利では買い手が付かないから、金利の高い債券を発行しているわけです。
高い利回りの債券を発行せざるを得ないということは、何らかの問題を抱えていることの裏返しと言っても良いでしょう。。
国内がインフレなんじゃない
なぜ表面利回りを高くしないといけないかというと、理由は2つ考えられます。
一つは、発行体の信用が低い場合です。
発行体というのは、債券を出している国やら会社やらのことです。
そこが信頼されていないときには、表面利回りは高くなります。
これは、消費者金融で借りるときの金利が高いのと同じ理由です。
消費者金融では貸したお金が返ってこないリスクが高いです。
ですから、彼らは金利を高めに設定し、お金を貸します。
少しくらい帰ってこなくても、事業に影響が出ないようにしないといけないから当然ですね。
ただ、上で挙げたような債券の場合は、格付け機関がそれなりの信頼を与えている場合も多いです。
ですから、この理由は必ずしもあてはまらないかもしれません。
もう一つの理由は、インフレです。
将来の物価上昇が見込まれれば、当然ですがその分利回りを上げて置かないと買い手はつきません。
例えば1年後に10%物価が上がると予想されるとしましょう。
10%物価が上がるということは、100万円を現金で持ち続けると、1年後には91万円の価値しかないことになります。
この状態で100万円を1年間5%の金利で貸したらどうなるでしょうか?
当然ですが、この場合は105万円が戻ってきます。
でも、物価は上昇しているので、1年後の105万円は現在の価値に直すと95万円程度の価値しかありません。
つまり、インフレよりも低い金利で貸したら、貸した方が損なのです。
こんな状況では、誰もお金を貸したくないはずです。
ですから、予想されるインフレ上昇よりは金利は高くなってしかるべきなのです。
現在のブラジルや南アフリカは、こういう状況なのでしょう。
ブラジルは毎年4%以上の物価上昇
実際、ブラジルの物価上昇を調べてみると、これを裏付けるデータが得られます。
ここ数年を見ると、ブラジルの物価は1年で4%以上の上昇を示しています。
■ インフレ率(前年比)の推移(1980~2011年)の比較(ブラジル、日本)
http://ecodb.net/exec/trans_weo.php?d=PCPIEPCH&s=1980&e=2011&c1=BR&c2=JP
過去10年までさかのぼると、10%を超えるような物価上昇すら見られます。
ということは、インフレが原因で利回りを高くしているのが自然ということです。
これは南アフリカでも同じ状況のようです。
南アフリカも、過去10年をみると年10%を超えるようなインフレを2回経験しています。
■ インフレ率(前年比)の推移(1980~2011年)の比較(南アフリカ、日本)
http://ecodb.net/exec/trans_weo.php?d=PCPIEPCH&s=1980&e=2011&c1=ZA&c2=JP
インフレを考慮すると、相当利回りを高くしないと、債券の買い手がつかないと言う事なのです。
為替変動で打ち消される可能性が大きい
さて、ブラジルや南アフリカのインフレは、日本の投資家にはどう影響するのでしょうか?
ブラジルとか南アフリカがインフレでも、日本には関係ない気がしますよね。
結論から言うと、インフレ率に差がある場合だと、為替がその影響を打ち消す方に動きます。
例えば日本の物価が上がっていないのに、ブラジルの物価が上がっているとしたら、ブラジル・レアルに対して円が高くなります。
そうならないと、辻褄が合わないのです。
為替が動く要因はインフレだけではありませんが、一般的に内外の金利差がある場合は、金利差を打ち消す方向に為替相場は動きます。
ようするに、為替を伴う投資の場合、表面的な利回りに差があっても、特に有利ではないということです。
参考
外債投資のリターンは、事後的には円債のリターンよりも高くも低くもなり得るが、期待値ベースで一方に偏りがあるとすると、市場で、為替レートや金利がそれを打ち消す方向に変化するはずだ。従って、市場で成立している為替レートと金利を前提とすると、どの通貨・金利のリターンが相対的に高いと断定することはできない。
しかし、一般的な(あえていえば、「素人の」)心理として、高金利の通貨・債券は円ベースでも期待リターンが高いと信じがちだし、だからこそ、個人投資家の間に、外債や外債ファンドに多くの買い手がいるのだろう。
■ 第145回 機関投資家の失敗を教訓にしよう
http://plaza.rakuten.co.jp/isyamazaki/diary/201103040000/
■ 為替ヘッジ – 野村證券
http://www.nomura.co.jp/terms/japan/ka/exchange_h.html
タグ: ブラジル・レアル, ランド, 南アフリカ, 外国債, 毎月分配型, 高利回り
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