IPO は儲かる確率が高い| 冷静に考えれば当たり前のことなんですよね

IPO というのは、儲かる可能性が高いと考えている人が多いようです。私自身もIPO は有利であると考えます。以前と違って、損をするケースも無いわけでは無いようですけど。

それでは、IPO はなぜ儲かる可能性が高いのでしょうか。ちょっと考えてみましょう。

過去の例を見れば一目瞭然

IPO として売り出された株式を、公募価格(IPO で買った場合の1株の買値です)で買って初値で売ったとします。こういうケースでは、かなりの確率で儲かるようです。1

論より証拠と言いますから、これを書いてる時点での直近の10件の公募価格と初値をチェックしてみましょう。

 

上場日 証券コード 銘柄名 市場 公募価格(円) 初値(円) 差異率(%)
15年3月19日 3223 (株)エスエルディー ジャスダック 1,650 1,903 15.33
15年3月19日 3224 (株)ヒューマンウェブ 東証マザーズ 1,800 2,010 11.67
15年3月19日 3909 (株)ショーケース・ティービー 東証マザーズ 1,800 5,290 193.89
15年3月17日 3908 (株)コラボス 東証マザーズ 3,620 8,600 137.57
15年3月17日 3910 (株)エムケイシステム ジャスダック 3,500 15,120 332
15年2月23日 3907 シリコンスタジオ(株) 東証マザーズ 4,900 9,900 102.04
15年2月20日 1384 (株)ホクリヨウ 東証2部 460 501 8.91
15年2月19日 3906 (株)ALBERT 東証マザーズ 2,800 6,040 115.71
15年2月18日 3454 ファーストブラザーズ(株) 東証マザーズ 2,040 2,090 2.45
15年2月18日 6037 (株)ファーストロジック 東証マザーズ 1,770 2,700 52.54

 

高い確率で儲けられるのが分かります

これを見ると分かるように、過去10件のIPO では、100%初値の方が公募価格よりも高くなっていました。IPO に当選しさえすれば、確実に儲かったわけです。

もちろん、さらに過去にさかのぼっていくと、初値が公募価格よりも低い場合も存在します。ただ、公募価格よりは初値の方が高くなるのが一般的という言い方は出来そうですね。

つまりIPO の場合、公募価格で買ってすぐに売れば、高い確率で儲けることができるわけです。もちろん、「抽選」という高いハードルはありますけどね。

ただ、応募するだけならお金はかかりませんから、積極的に試してみたい投資です。お金のかからない宝くじみたいなものですから。

IPO で投資家が有利なのは当然かも

ところで、IPO の公募価格を主導的に決めているのは、証券会社のはずですよね。どうしてこんなふうに、投資家が儲かるような公募価格が設定されているのでしょうか。

もう少し高めの設定にしてもよさそうなものですよね。

証券会社は売り切ってしまいたい

この点に関しては、証券会社の立場に立ってみると理解しやすい気がします。

証券会社としては、IPO を成功させたいと思っているはずですよね。成功というのは、すべての株式を売り切ってしまうという事です。

そのためには、ある程度の数の投資家を集める必要があります。そうなると、投資家には高い確率で儲かるというイメージを与えることが大事ですよね。

つまり、投資家が儲からないと思ったら、IPO は成立しないわけです。あるいは、証券会社の営業の負担が大きくなりすぎて、ビジネスとしてのうまみがなくなってしまうわけです。ですから、公募価格を低目にするのは必然なのです。

そもそも、IPO の場合は、かなりの株数を売り切る必要があります。そうなってくると、多少思い切った値下げが必要なのです。

こういう事情を考えれば、今後もIPO というのは当選すれば儲かるという状態が続くのでしょう。

株式を大量に売却したらどうなるかを考えてみよう

IPO の公募価格が安くなるのは、大量の株式が売られると安くなるのと似ています。

一般に株式が大量に売られると、株価は安くなりますよね。買いたい株数よりも売りたい株数の方が多いのですから当然です。実際の株式の価値よりもかなり安い水準にならないと売れません。

実はIPO というのは、これと同じ事なのです。株式を公開する企業というのは、大量の株式を売りたいのです。なにせ会社ひとつ分の株式ですから。

それだけの株数を売ろうと思ったら、当然ですが、株価は下がるはずですよね。ですから、IPO の時に安く買えるのは、当然という他ないわけです。

もっとも、IPO で買うと儲かるということをみんな知っているので、普通に大量の株式を売るときほどは公募価格を下げる必要はありません。ちょっと割安くらいで売っても買い手は見つかる可能性が大きいですから。

公募価格の何倍もの初値が付くのはなぜなのでしょう

公募価格が予想される初値よりも低めに設定されるのは分かりました。でも、上の例を見ていると、公募価格の数倍の初値がついているケースもありますよね。一番大きいのだと、初値が公募価格の3倍近くになっているケースがあるのかな。

IPO で投資家に儲けさせるために公募価格を低目に設定するにしても、これって酷いですよね。上場する企業からしたら、クレームの一つも付けたくなるのでは無いでしょうか。公募価格を高めに設定しておけば、企業としては事業資金を多く手に入れられたわけですからね。

ここまで公募価格が低くなるのって、どうしてなのでしょうか。実は証券会社って、株価を予想する力が無いのかもしれませんね。そう考えないと、何倍も読み間違うなんて、考えにくいです。

追記:トラブル続きで公募価格割れしたソフトバンク

ここまで紹介したように、IPO というのは儲かる可能性が大きいわけです。しかし、上場後の売買価格が公募価格ほど高くなく、損をすることもあります。

例えば、上場する少し前に大きなトラブルがあったりすると、こんなことは起こりますね。

公募価格を決める時には、当然ですが、トラブルが起こることは想定していません。ということは、株価に影響するような大きなトラブルが起こったら、株価は公募価格を下回ることもあるわけです。

もちろん、何のトラブルがなくても、公募価格を下回ることはありますけどね。トラブルがあったら、下回る確率がより大きくなります。

ソフトバクのIPO

最近、そんなことが起こりました。ソフトバンクグループ(SBG)の携帯子会社であるソフトバンク(ややこしい)の上場後の初値が、公募価格を下回ったのです。

株価はその後、更に下げています。上場日の午前の終値は、1,360円でした。つまり、上場日に買った人は、時価ベースで10%以上損をしていることになります。

これらを具体的に書くと、次のような感じです。

  • 公募価格:1,500円
  • 上場後の初値:1,463円
  • 前場終値:1,360円

IPO でこの株を買った人は、見事に失敗したということですね。

ソフトバンクの株価が公募価格割れをしている理由は、とても簡単です。上場前に大規模な通信障害を起こしたからです。それだけでなく、ファーウェイの機器を国内で使用するのが難しくなったので、ファーウェイとべったりなソフトバンクは大きな影響を受けました。

それでは、トラブルの内容をもう少し詳しくみてみましょう。

大規模通信障害

2018年12月6日に、全国で通信障害が起こりました。簡単に言うと、ソフトバンクの携帯が使えなくなったのです。

すべてが使えなくなったわけではなく、ふつうに使えた人もいるようです。あるいは、使えるが利用しづらいというケースもあったようですね。

ITmedia というところの記事によると、「約74%の回線が通信障害の影響を受けた」2 そうです。携帯電話に頼った生活をしている人も多いでしょうから、かなりの人が影響を受けたと見られます。

ちなみに、障害の原因はエリクソンのソフトウェアの問題だったようです。ようするに、ソフトバンク自身もある意味では被害者ということですね。

まだ完全に原因が解明されたわけでも無いようですから、ソフトバンクに完全に非がないかどうかは判断できませんが。それに、機器を選んだのはソフトバンクですから、その意味では非がないとも言えないでしょう。

ソフトバンクが被害者の可能性が大きいとは言え、実際にサービスが使えなくなったことでソフトバンクへの信頼は大きく揺らぐでしょう。ユーザーからしてみたら、原因なんてどうでも良くて、ソフトバンクの携帯が使えないことが問題ですから。

そうなると、株価への影響は小さくないはずです。

ちなみに、上場は2018年の12月19日です。事故は12月6日に起こっています。つまり、上場のわずか2週間前に起こった事故でした。

ファーウェイの締め出し

米国の政府は、中国のファーウェイの機器に対して、疑義を抱いていると言う話はずっと報じられていました。そして、米国政府が2018年12月になってファーウェイの機器を排除することを決め、同盟国も追従しているというのが世界的な流れです。

日本政府はこれに追随し、政府調達からファーウェイの製品を排除することを決めています。

どうやら、実際には、日本政府は既にファーウェイ製品は排除していたようですけどね。その事実を表に出したわけです。

政府が排除を公表したことで、その影響は企業にも及びます。具体的には、通信大手3社も、これに準拠することを発表しています。

ということは、少なくともソフトバンクを含む大手3社は、ファーウェイの機器を取り扱わないことになるわけです。これはファーウェイにとっては大きな打撃でしょう。

ただ、取扱をやめる通信会社にもダメージはあります。そして、特に影響が大きいのがソフトバンクだと言われているのです。

というのも、ソフトバンクは、基地局などにもファーウェイの機器を使っているからです。今回の日本政府の対応を受けて、既存の基地局でもファーウェイ製品を排除することを決めました。

あ、ちなみに、ファーウェイだけでなくZTEという中国のメーカーも閉め出されるそうです。ZTEは、何か月か前に、アメリカから制裁を食らっていた会社ですね。

このあたりのニュースが報じられたのが2018年12月13日ころまでです。ということは、上場の1週間前までネガティブなニュースが出続けたわけです。

まあ、そりゃ、公募価格割れをしても何の不思議もありません。こんな大きな出来事が、IPO の直前の時期に起こったわけですから。

電話で勧誘をしていたなんていう噂も

ちなみに、今回のIPO に関しては、敬遠する投資家が多かったようです。

まあ、そりゃそうですよね。常識的に考えたら、損をする確率の方が、圧倒的に大きいでしょうから。

それで、一部の証券会社では、IPO株をさばくために電話で営業をしていたなんていう話もあります。ツイッターなどの情報なので、どの程度正確かはわかりませんが。

まあ、主幹事会社だと、扱う株数が多いですからね。営業電話を書けまくって売るということは、当然ありうるでしょう。

でも通常は、ソフトバンクのような会社だと、簡単にIPO株はさばけてしまうはずです。その意味では、主幹事の証券会社にも、ファーウェイショックの余波があったことになりそうです。


  1. ちなみに、IPO というのは、会社を上場する時に株式を売り出すことですね。企業がお金を集める方法の一つです。 []
  2. ソフトバンクの通信障害、約3060万回線に影響
    2018/12/13(木) 12:18配信 ITmedia Mobile []

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